くつくつと笑う声が聞こえた。
「司に見せてどうするつもりです?」
『どうする――ふむ、どうなるかは司しだいかのぉ……。そうじゃ、先に言うておく。司に学園警備の指揮権を持たせる』
 なぜ司にっ!? 理由は?
『警備サイドでは佐々木の姪にはなんの手も打たぬじゃろう。その対応を司に任せる。問題はなかろう?』
 あるなし、でいうなら別段問題はない。
 問題はないが、じーさんが何を企んでいるのかが読めないところが大問題だ。
『雅の真実を知って秋斗はどう思うた? ……司はそれを知ってどう思うかの? ふぉっふぉっふぉっ』
 通話はそこで切れた。
「何を思ったか……?」
 復唱するように口にしたとき、会議室から人事部長が出てきた。
「会長の使いが下にいらしているそうですが……」
「あ、はい。今会長から連絡がありました」
 俺は手に持っていた携帯をスーツのポケットにしまう。