インターホンに出ればこの部屋まで届けてもらえたものをそうはせず、わざわざ一階まで取りに行く。
 ほんの少しでも俺をひとりにするために。
 目に熱いものがこみ上げてきて、数秒後にそれが涙だと気づく。
 涙がこんなにも熱いものだとは思いもしなかった。
 俺は手の平で涙を受け止め、しばしそれを見つめる。
 いくつか手の平に小さな衝撃を受け止めたあと、洗面所へ向かい顔を洗った。
 先輩が戻ってきたのは俺が顔を拭き終えたあとだった。