自分の身体より、そんなにこれが大事かっ!?
 俺に言わせれば、身体に替わるものはない、だ。
 もっとも替えのきかないもの。それが人の身体。
 それ以上のものなどありはしない。
 俺は真っ直ぐ翠の元へ向かった。
「必要以上の心配をさせるな」
「そんなの、誰も頼んでないっっっ」
 少し前に聞いた声よりもひどい声になっていた。
 目もしっかりと充血している。
 そんな人間にこんなこと言われてみろ――。
「頼まれて心配した覚えはない。勝手に心配してると言われたらそれまでだ。……けど」
 理性など保てない。
 感情など抑制できない。
 ぎりぎりのところで留まっていた何かが振り切れる。