「あちゃー……しっかり電源落ちてるね。俺たちが探してた時間だけでも十分近いし、その前から浸かってたなら携帯本体のディスプレイとかはもうダメだね」
 久先輩が優太の手にあった携帯を俺の手に乗せる。
「でも、ここ池だし。海水よりはいいでしょ? 不純物さえ取り除けばデータは取り出せるんじゃん?」
 優太の言葉に俺はぼそりと零した。
「……データはあらかじめバックアップが取ってあった」
 情報を教える、というよりは単なる愚痴。
「えっ!? じゃぁ、なんでっ!?」
 答えるより先にしたい作業がある。
 ストラップに通された三つのアイテムがひとつも欠けていないか、壊れていないか。
「あぁ、そっか……。それのため?」
 久先輩の指先にはストラップ。
 これ以外、ほかには何もなかった――。