ふと顔を上げると、翠の後方に姉さんと秋兄の姿が見えた。
 とっとと――とっとと翠を回収してくれ。
 こんな寒いところに身を晒しているなんてバカのすることだ。
 俺は姉さんに視線を送ってから六回目の潜水を開始した。

 池の中は先ほどと比べようもないほどに明るくなり、物を探しやすい状況になっていた。
 しかし、三人で潜ると気泡も増える。
 そこかしこに浮き上がる気泡が視界の邪魔をしていた。
 けど、何も見えないよりは作業率が格段に上がった。
 途中、優太に服を引っ張られ、その手に握られているものを見せられる。
 翠の携帯だった。