光のもとでⅠ

「しょうがないでしょっ!? 食べるの遅いのはもとからだし、口にものが入っているときは喋っちゃだめって言われて育ったんだものっ」
 俺は海斗に少しだけ感謝する。
 こんなふうに話す翠に会えたのは久しぶりだった。
 それと、うちにはうちの躾というものがあるけれど、翠の家にも翠の家流の躾があることを知った。
 食べている最中は話しかけない、というのが俺の作ったルールなわけだけど、さっきからずっと気になっていたものがある。
 それは、机の上に置いてある携帯。
「最近見かけないと思ったら……」
 携帯には秋兄がプレゼントしたと思われるストラップと、俺が買ってきたお土産のとんぼ玉。
 それから、見たことのない鍵が同じチェーンに通してあった。