「何かあったのは俺」
「その割にあんたは大丈夫そうだけど……。何があったの?」
「じーさん絡みだから気にする必要ない」
「なおさら気になるわ」
 仕方なく、ざっくりと説明した。
「何よそれ……。あくまでも警備の仕事であって司は関係ないじゃない」
「俺もそう思う。良かったら姉さんからじーさんにそう言ってもらえると助かるんだけど」
 姉さんは長い沈黙のあとに一言、「遠慮しておくわ」と口にした。
 この威勢のいい姉さんでもあのじーさんだけは避けて通りたいらしい。
「そんなわけだから、とりあえず首尾よく動けるようにでも祈ってて」
「それ、翠葉には話すの?」
「……言わない」
「言っておいたほうが安全なんじゃない?」
「翠の安全なら学園警備が守るだろ? 警護班なんてそのためにあるようなものだし」
「そうだけど……」