「っ……超貴重っ!」
ケンがビシ、と俺の顔を指差した。
俺は眉間にしわを寄せる。
「なんつーの? つまり、そーゆー顔っ! 普通に笑う、みたいな? お姫さんといるときには見かけるけど、俺らと一緒のときにはあまり見れない」
言う様は拗ねた子どものようにも見えるし、興奮して冷めやらん、というふうにも見える。
「うっは! 無理っ! 心落ち着けて弓なんて持ってられねー! 俺、バスケ部行ってくるわっ!」
ケンは神拝もせずバタバタと道場を出ていった。
「あいつ、道着のままバスケ部に乱入するつもりか……?」
あと数ヶ月で三年は卒業するが、会長――久先輩がいなくなっても「部活荒しの猿」の異名を引き継ぐ人間はいそうだ。
そんなことを考えながら、俺はすっかり明るくなった外へ向かって矢を放った。
ケンがビシ、と俺の顔を指差した。
俺は眉間にしわを寄せる。
「なんつーの? つまり、そーゆー顔っ! 普通に笑う、みたいな? お姫さんといるときには見かけるけど、俺らと一緒のときにはあまり見れない」
言う様は拗ねた子どものようにも見えるし、興奮して冷めやらん、というふうにも見える。
「うっは! 無理っ! 心落ち着けて弓なんて持ってられねー! 俺、バスケ部行ってくるわっ!」
ケンは神拝もせずバタバタと道場を出ていった。
「あいつ、道着のままバスケ部に乱入するつもりか……?」
あと数ヶ月で三年は卒業するが、会長――久先輩がいなくなっても「部活荒しの猿」の異名を引き継ぐ人間はいそうだ。
そんなことを考えながら、俺はすっかり明るくなった外へ向かって矢を放った。


