光のもとでⅠ

 俺に強靭な精神が備わっているわけではない。
 ただ、一日一日をフラットな状態に戻す方法を知っていただけ。
 その時間を奪われれば、俺のメンタルは「不機嫌」という形で脆くも崩れる。
 そんな俺を口には出さず見守ってくれていた人間たちがいた。
 こんな近くに――。
 ……違う。
「人間」ではなく「友人」――。
「なぁんだよっ。朝っぱらから俺に色目使ってもいいことねぇぞっ!」
 あってたまるか……。
「なんなら、絶対零度と言われる笑みでも向けようか?」
 気色悪いことをしてるな、と思いながらもにこりと笑いかければ、
「ひぃぃぃっっっ、寒っ! ただでさえ冷えるんだからやめてくれよなっ!?」
 冗談なのか真面目なのかわからないやり取りは続く。
 俺はそれにどこか安堵し、昨日から緊張した状態にあった心が和らぐのを感じた。