光のもとでⅠ

「……そんな顔すんなよ。言っただろ? 俺の中には付き合いの長さからくる経験値センサーがあるって」
 気遣われていたことに驚いたわけではない。
 自分という人間を見てきただけでそこまで理解してくれていたことに驚いた。
 機嫌が悪くなるからやめた、とだけ言われたのならまだしも――。
「なーんちゃって! 実は優太センサーも働いてました。俺がご機嫌だった朝は一日中司の機嫌が悪いって。だから、何が違うのかふたりで検証してわかった結果であります。……でもま、司の機嫌悪い指数までわかるのなんて俺や朝陽、優太くらいなもんだよ」
 どこか自慢げに、にへら、と笑うケンを冷ややかな目で見る。
 ケンと話をしていると、真面目な話をしているのかそうでないのかがわからなくなることが多々あった。
 でも――。
 見て察してくれていた、という点においては何も変わりはしない。
 優太もケンも、俺の行動や表情から察してくれていたのだ。