光のもとでⅠ

「今になってその質問かよ!」
 今になって、と言われればそれまでだ。
 こんなことは今に始まったわけではないのだから。
 もうずいぶんと前のこと。
 あれはいつ頃のことだったか――。
「去年の夏の話をなんで今するかね? ほんっと司ってよくわかんないよ」
 ケンは仕上げ、と言わんばかりに足を屈伸した。
 立ち上がるのかと思えばその場に座って胡坐をかく。
 俺にはケンの行動パターンのほうが謎だ。
「おまえさ、ここって場所が大事なんだろ? ここがないと荒れるだろ?」
 思わぬことを指摘されて反応することができなかった。
 ゆっくりと身体ごと振り返ると、ケンの真っ直ぐな視線とぶつかった。