「えっ!?」
「同じ学年に在籍してる越谷まりあってどんな人間?」
「……司に女子のこと訊かれんの初めて」
 そうは言うものの、理由は訊いてこない。
「司のその頭はどうなってんのかな? 越谷って幼稚舎から藤宮組だけど?」
「覚える必要があれば覚える」
「うん、まぁ、そういう考えの持ち主だよね。知ってた」
 ケンは俺という人間との距離の取り方や会話の仕方を心得ていた。
「越谷まりあ――文系で今はC組。前回のテストは八十位前後にいたんじゃなかったかな。百位未満だったのは確か」
 抜けたところもあるが、ケンは並外れた記憶力を持っている。
 そして、人を観察する能力に長けていた。