外はすでに暗く、月は闇に覆われていた。
 あたりを照らすのは等間隔に設置されている街灯のみ。
 冬を感じさせる風が吹いていた。
 ザザザ、と風が木を揺らしては落葉樹が葉を散らす。
 道着の袖から冷たい外気が入ってくるのを感じつつ、学校への道を急いだ。
 急いていたのは行動のみならず頭の中もだった。
 雅さんに関しては色々と思うところがあるが、今は雅さんのことを考える時ではない。
 今考えるべきは越谷まりあのことだろう。
 そうは思っても、よほど衝撃的だったのか、頭を切り替えるのには少し時間を要した。
 たとえば、藤山から弓道場までの道のりでほかのことを考えられない程度には――。