お昼になると蒼兄に呼ばれリビングへ行く。
 キッチンの前を通りかかったとき、栞さんに声をかけられた。
「昨日の残りでごめんね」
 申し訳なさそうに言うけれど、私は全然問題ないし、蒼兄は昨日のお昼は大学で食べているのだから全く問題ない。
 それ以前にとても美味しいから数日続いても嬉しいとさえ思う。
「美味しいからあと数日続いても大丈夫です」
 私が答えたと同時にインターホンが鳴った。
「あ、蒼くん出てもらえる? たぶん若槻くんだから」
 ……若槻さん、夜までは仕事詰めじゃなかったのかな?
「どうせだから、お昼と夜は一緒に食べましょうって誘ったの。じゃないと、彼夕飯しか食べそうにないでしょう?」
 言われて納得した。
 どれほど忙しくても三度のご飯は食べたほうがいいに違いない。
 リビングへ姿を見せた若槻さんはすでにぐったりとしていた。
 入ってくるなりソファに横になる始末。
 いったいどれほど仕事を片付けてきたのだろうか……。
 ただただ寝ているだけの自分が申し訳なくなってしまう。