光のもとでⅠ

「学校の勉強は困らない程度に……。雅は図書館に通って心理学の本を読み漁っていたそうじゃ。もともと株など興味もなければ、それで一族に認められようとも思っておらんかった。むしろ、逆じゃろうの。損をさせてやれ、くらいなものじゃったろう」
 俺は絶句する。
「雅はずっと自分を救うことに必死だったんじゃよ。必死で楽になろうと糸口を探しておったんじゃろ。糸口を見つけられれば同じように悩む者の力になれると、そう思ってきたのじゃろう。……じゃが、どれだけ知識を増やし何を学んだところで己の傷を癒すことはできなかった」
 雅さんは大学で心理学を学んでいた。
 大学三年が終わった時点で修士課程に飛び級をし、二十三歳で修士課程を修了。二十四歳で博士課程に進んだ。
 博士課程は三年だが、一年目の途中で辞めていた。