光のもとでⅠ

「その大学を選んだのは雅の意思だったそうじゃ。今の雅は自分を見失ってしまっておるが、もとから問題児だったわけではのうて……。心理学を学ぼうと思ったきっかけは、己の出自と家庭環境にある」
 経歴書には幼稚部から高等部まで、さらには大学、大学院での評価も記されていた。
 ざっと目を通したが、成績が際立って悪いという印象は受けない。
 中等部、高等部での成績は学年で三十位前後をキープしているし、取り分け理系が弱いという印象も受けない。
 初等部六年で書かれた作文には将来の夢が書かれていた。
 中等部でも高等部でも、十二年変わらず将来の夢、進路の先には「カウンセラー」と記されていた。
 俺は意外なものを突きつけられた気がして息を呑む。
 じーさんの話に耳を傾けつつ、ファイルをパラパラとめくる。