「株の操作は得意じゃないみたいだけど……」
そうでなければ、あそこまでの大損はさせなかっただろう、という履歴を見たことがある。
「果たして本当にそうかのぉ……」
じーさんの表情は変わらない。声のトーンも変わらない。
ただ、妙な間があった。
「何?」
焦らされるのが嫌ですぐに訊き返す。と、じーさんは目を戸口の方へと向けた。
「そこのファイルを見よ」
戸口脇に置かれていたそれに手を伸ばすと、雅さんの経歴とレポート、論文がファイリングされていた。
「教育学部心理学科……?」
うちの大学ではない。だが、偏差値が低い大学でもなかった。
そうでなければ、あそこまでの大損はさせなかっただろう、という履歴を見たことがある。
「果たして本当にそうかのぉ……」
じーさんの表情は変わらない。声のトーンも変わらない。
ただ、妙な間があった。
「何?」
焦らされるのが嫌ですぐに訊き返す。と、じーさんは目を戸口の方へと向けた。
「そこのファイルを見よ」
戸口脇に置かれていたそれに手を伸ばすと、雅さんの経歴とレポート、論文がファイリングされていた。
「教育学部心理学科……?」
うちの大学ではない。だが、偏差値が低い大学でもなかった。


