秋斗さんに会いたいか会いたくないか。
 それは本当にわからなかった。
 でも、気になるのは本当で――。
 首の傷を知られるのが嫌なのか、それとも、またキスマークを付けられるのが怖いのか――それ以上を求められることが怖いのか……。
 どれもが該当しそうで、その先を考えるのがとても怖かった。
 秋斗さんが怖いというわけではなく、そういう関係が怖いだけ、と思いたい。
 でも、本当はどちらなのだろう――。
 怖いから、だからまだ答えは出したくない。
 でも、若槻さんがお酒を飲ませてキスマークのことを口にするくらいには落ち込んでいた、ということなのだろうか。
 それは、あの日、移動するのに私が秋斗さんを拒んだから?
 藤山でお散歩した日。
 私もエレベーターの中で秋斗さんがこちらを見てくれないのはショックだった。
 それと似たようなものなのだろうか。
 だとしたら、すごくひどいことをしたことになる。
 何をどうやって、どんなふうに謝ればいいのだろう。
 取り返しはつくのだろうか――そもそも、何を取り返すというのだろう……。