佐々木の件はそれだけかと思いきや、雅以外との人間ともつながっていた。
 佐々木の妹である越谷百合子(こしがやゆりこ)は老舗茶屋に嫁いでいる。
 越谷茶店は雅さんの家が贔屓にしている茶屋だ。
 そこの娘が越谷まりあ――藤宮の高等部二年に在籍している。
 越谷まりあは母親の百合子とお茶の納品に雅さんの家を度々訪れていた。
 当然、雅さんとも面識があった。
 佐々木は雅さんを秋兄に、自分の姪は俺と見合いをさせるつもりだったらしい。
 その雅さんの話が中倒れ、姪のまりあが最後の砦となった。