光のもとでⅠ

 じーさんはやれやれ、といった表情で窓の外に目をやった。
「あのお嬢さんはそんなところへなぜ行こうと思うのかのぉ……」
「さぁ、自分をいじめるのが趣味なんじゃない?」
 司の言葉は容赦ない。
 今日のデートをキャンセルされたことを多少なりとも根に持っているのだろう。
「お嬢さんが館内に戻ってきてからでも問題はなかろう?」
 じーさんは彼女に会うつもりはあるが、外に出ることは気が進まないようだ。
「いや、大ありかな? 彼女もじーさんと同じで寒さに強いほうじゃない。でも、今の彼女は放っておいたら戻ってきそうにないからね。頃合を見計らって館内に連れ戻してほしい。それがもうひとつの頼み」
「……しょうがないのぉ、わかったわ」
 答えたあと、じーさんは窓の外に目をやる。