光のもとでⅠ

「木田さん、大丈夫だとは思いますが、従業員の緘口令は――」
「ご心配には及びません。そのようなことは通達せずとも皆心得ております」
 余裕の笑みで返された。
「さすがですね」
「いいえ。ホテルマンとしてごく当たり前のことです」

 応接室に入ると、じーさんはいつもどおり和服姿で、司は場を考えたのかシンプルなスーツを着ていた。
 そしてもうひとり――じーさんの専属医、藤原清良もシンプルなパンツスーツを着てこの場にいた。
 じーさんは俺にではなく木田さんに反応する。