彼女の朝食が終わると、木田さんは再度俺の部屋を訪れた。
 どうやら、彼女はこの寒い中森へ行こうとしているらしい。
 木田さんが外気温を伝えても引く気配はなかったという。
「でき得る限りの防寒対策はいたします。ですが、やはり長時間はお勧めできません」
「……会長は着きましたか?」
「はい、今朝七時前にはお着きになられました。今はバックヤードの応接室にいらっしゃいます」
「会長は彼女に会うつもりでここへ来ています」
「そのようにうかがっております」
「彼女を館内に連れ戻すのは会長に引き受けてもらいましょう。木田さん、自分も応接室へ移動したいので手配をお願いします」
「かしこまりました」