そうやってひとりになって寂しくなったとき、君は誰に助けを乞うの?
 誰に救いを求めるの?
 家族? 友達? 好きな人?
 君が手を伸ばすのは誰……?

 二時を回ると徐々に彼女の血圧が下がり始め、心拍も体温もいつもと変わらない数値に落ち着いた。
「眠った、かな」
 俺は見えない壁の向こうを想像する。
 広いベッドの端に小さく丸まり、睫に涙を湛えるまま眠る彼女の姿を。
「ごめんね……。こんなにつらい思いをさせて、ごめんね」
 記憶がどれほど彼女の心を苛んでいるのか。
 それを考えるだけで胸が潰れそうになる。
 すべての要因が自分にあるだけに……。