「あぁ、久しぶりだな」
「先輩も一緒に飲みませんか?」
「今日は仕事がある。蒼樹、悪いが唯を借りる」
「あ、はい……」
 蒼樹のぽかんとした顔に見送られ、俺たちは無言で三十九階の部屋へと移動した。
「どうしたんです? 怖い顔をして」
 俺はさっき聞いたばかりの情報を唯に伝える。
「翠葉ちゃんの警護につく人間がすり替えられていた」
「え……?」
「日下部部長と日比野副部長が選考した人物とは違う人間が配置についていた」
「それ、どういう――」
「内部にネズミがいる」