「これは……?」
「私と日比野が選考していた警備員です」
「……今配置についている人間とは違うようですが」
「はい。これで差し支えないようでしたら、今すぐ配置につかせます」
「問題ありません」
 日下部部長はひとつ頷き、「失礼します」と携帯を手に取り辞令を下した。

 社長室で事のあらましを聞いたあと、俺と蔵元はホテルへ向かった。
 珍しいことに、唯はホテルのバーラウンジにいるという。
 そして、その場には蒼樹のほかにふたり、見知った顔が揃っていた。
「わ、秋斗先輩変わらないですねっ!」
 声をかけてきたのは鈴代環(すずしろたまき)。
 もうひとりの後輩、高崎葵はにこにこしながらグラスを傾けていた。