「紅葉、か……。翠葉ちゃんを連れてきたら喜ぶだろうな」
 視界に広がる紅葉を見つつ、きれいに整備された道を進む。
 そして、さっきじーさんに言われたことを思い出す。
 ……俺が藤山に用?
「ないだろ……?」
 しかし、じーさんは時に横暴な振る舞いをすることがあっても、無意味に仕事の邪魔をする人ではない。
 何かあるのか?
 最短ルートを回ってとっとと車のキーを返してもらおう。
 そう思ったとき、ルートの分岐点に差し掛かった。
 ルートの分岐点にあるのは藤棚。
 その藤棚の下にあるベンチには、寝転がる司がいた。