俺たちは藤棚をあとにし、そのまま光朗道を進んだ。
「司はどうして翠葉ちゃんだった?」
「……好きになった理由って意味?」
「そんなとこ」
「……俺が前に訊いたとき、秋兄がなんて答えたか覚えてる?」
「え?」
「好きになるのに理由はいらない。そう言った」
「それ、いつの話だっけ?」
「秋兄が翠と森林浴に行ったあと。秋兄があっちの携帯を解約してきたとき」
「……あぁ。よく覚えてたな?」
「そんな前の話じゃないし……」
 俺は――。