シャワーを浴び着替えを済ませるとすぐに家を出た。
 四時には庵にいると聞いてる。
 辺りの紅葉具合を確かめつつ歩いていくと、庵前の駐車場にじーさんの車が停まっていた。
 軽くノックしてから開き戸を開けると、
「よう来たのぉ」
 口髭をいじるじーさんがいた。
「コーヒーでも飲むかの?」
「いや、藤山の立ち入り許可をもらいに来ただけだから」
「それなら座れ。座ってコーヒーを一杯付きおうてくれたら許可しよう」
 相変わらず一筋縄ではいきそうにない。
 そうは思ったが、意外なことに一杯のコーヒーであっさり許可が下りた。