翌日の土曜は移動教室が多く、翠のクラスを尋ねる時間がなかった。
 ホームルームもうちのクラスが遅いのが常らしい。
 今日は午後から仕事だと言っていたか……。
 翠の予定を思い出しつつ部室棟へと向かった。
 午後の部活を三時半で切り上げ、俺は一度自宅へ戻る。
 帰り道、ハナの散歩をしている母さんと会った。
「いつもよりも早いのね?」
「あぁ、着替えたら庵へ行く」
「あら、珍しい……。司が行くということは、今日はお父様が庵にいらっしゃるのね? そうだわ! お父様にお夕飯をご一緒しましょう、と伝えてもらえるかしら? 今日はお鍋にしようと思っているの」
「わかった、伝えておく」