「リィに避けられてるでしょ?」
 その言葉に心臓がドクリ、と音を立てる。
 自覚はしていたが、第三者に言われると一味違う。
「秋斗さんのことも避けてるし、司っちのことも避けてる。下手したら家族すら遠ざけようとしてた」
 最後の一言に目を瞠る。
「なん、で……」
 なぜ家族まで避ける必要がある……?
「そんなのこっちが訊きたいよ。司っち何やってんのさ。寡黙が美徳だとでも思ってるわけ? 君の気持ちってさ、今言わないでいつ言うんだよ」
 寡黙が美徳だとは思っていない。
 俺の言葉数が少ないのは、言葉を交わすに値しない人間と付き合うのが面倒だからだ。
 ただし、翠はその中に含まれない。