「司っち、回れ右」
「は?」
「うん、とりあえず回れ右」
 俺は不服そうな顔をした司っちをゲストルームに入れることなくポーチの外、表の通路まで連れ出した。
「うっ、夜は寒いなぁ……」
 十一月半ばとはいえ、夜気はそれなり。
 Tシャツ一枚で出てきた俺がおバカ決定。
「あなたに用はないんですが……」
 そのくらいわかってるってば……。
 君はリィに用があって来たんだよね?
「リィに用っていうか、勉強教えに来たんでしょ?」
 司っちは無言で頷く。
「それ、不要だから」
 司っちは怪訝そうに眉をひそめた。