光のもとでⅠ

 文系は苦手だけどやってできないわけじゃない。
 ただ、空で教えられないだけ。
 まだまだ若いとはいえ、高校生なんて身分だったのは五年も前のこと。
 普段使わない知識なんてよほどのことがない限り覚えてられるかっつーの。
 でもですね、お兄さん、これでも海新に首席入学してから卒業するまで首位落としたことナインデスヨ。
 やる気になれば藤宮の一年レベルくらいなんてことないっす。
 んなもん朝飯前です。仕事の片手間で十分です。
 ……そうでもしないとさ、本当にリィがどこかに行っちゃう気がしたんだ。
 なんだろうね?
 同じ家で寝食共にしているのに、いきなり溝が深まる感じ。
 一瞬、夏の幸倉でのリィを思い出した。
 だから、ほかの誰を差し置いてでも、自分はリィの側に残ってやるぜ精神が働いちゃったっていうかさ……。