光のもとでⅠ

 この短時間でひとつのアナグラムからふたつのものを解読している。
 ふたつのメッセージに気づけるところまでは当然のこととして、この短時間っていうのが気に入った。
 本社の人間とそんな応酬をしつつ、俺はリィのことを考えていた。
 さすがにさ、リィの警護班がまだ配置に付いていなかったら駅まで行くことは許可できなかった。
「狙われる」というのは、藤宮絡みのものもあるしそれ以外のものもある。
 つまり、そこらの飢えた野獣どもに狙われたとして、リィがそれをかわせるとは思えない。
 天性のぼけっぷりを発揮したところで野獣が面食らうのは一瞬だ。
 あとは力づくにでも連れていこうとするだろう。
 そうなったらたぶん、リィの男性恐怖症が全面に出る。
 やっぱりさ、そういうのからは守ってあげたいと思うわけだよ。