「あ……あの――」
「ん?」
「秋斗さん、今は――今は、みんなと仲良しですか?」
「え……?」
「っ……ごめんなさいっ、なんでもないです」
 司のことを訊かれると思っていた俺は虚を衝かれた。
「……翠葉ちゃん? それはつまり……俺と誰が仲良しってことかな?」
 ちらりと彼女を見るものの、彼女の視線は完全に手元へ落ちている。
 ここは私道ということもあり、公道のように信号で止まることはない。
 俺がほかに意識を使わず、彼女だけを見ることができるタイミングは訪れない。
 車を停める、という手はあったが、彼女の治療時間のことを考えるとそれは憚られた。
 話の続きは聞けないかもしれない。
 そう思ったとき、彼女はゆっくりと口を開き、言葉を選んで話し始めた。