彼女を見送り、駐車場へと足を向けた俺はひとり零す。
「結構きついな……」
 彼女と一緒にいたい。
 一緒にいる時間を得たい。
 そうは思う。
 けど、あからさまに司を意識する彼女を見るのはきつかった。
 いつかのホテルでの出来事を思い出すくらいには……。
 翠葉ちゃんは司に返事をしたのだろうか。
 少し考えてみるものの、両思いになったにしてはさっきのふたりの雰囲気は奇妙だ。
 俺に会いに来るのが気まずかったのはわかる。
 それは俺に対して後ろめたい感情を抱くから。
 けれど、司に対しては何ひとつ後ろめたいことなどしていないのだから、あそこまでおどおどする必要はなかったはず。