彼女を振り返ろうとしたら、そのタイミングで司が口を開く。
「あぁ、面白くないな。秋兄の言うとおり、翠と秋兄が一緒にいるのは面白くない。そう言ったらやめてくれるわけ?」
 隙のない笑みを作り、司はそれを俺に向ける。
「まさか。誰にお願いされてもやめるつもりなんてさらさらないよ。翠葉ちゃんが応じてくれる限りはね」
 俺はいつもと変わらない調子で答えた。
 そこに、ピッ、と電子音が聞こえると、加納が場にそぐわないテンションで入ってくる。
「イェイッ!」
 この分だと問題なく学校印をもらって、さらにはいい評価を得られたのだろう。
 加納はあたりを見回し、「ん?」と首を傾げる。