俺はお湯を沸かし、ハーブティーをティーポットにセットする。
 カップをふたつ取り出し窓の外に視線を戻すと、彼女は立ち止まり、手に持つものを見つめていた。
 それも、まだテラスの半分にも満たない場所で。
 歩いては立ち止まり、歩いては立ち止まり――。
 彼女はそれを繰り返す。
 もうお湯は沸騰してから五分以上が経ち、お茶を淹れるのには最適な温度になっている。
 普通に歩いてくれば五分もかからず図書棟に着いているだろう。
 けれど、彼女はまだ図書棟まで十メートルほどのところにいる。
 お茶を淹れると、それをダイニングテーブルに置き、再度彼女に視線を戻す。
 あと二分くらいかな……。
 俺は彼女の動きを想像し、図書室へたどり着くタイミングでドアを開けた。
 ジャスト――。
 図書室に入ってきた彼女を見て思う。