「まさか。誰にお願いされてもやめるつもりなんてさらさらないよ。翠葉ちゃんが応じてくれる限りはね」
 俺たちが言葉を交わすたびに翠は身を小さくする。
 本当はそんなことする必要ないのに。
 こんなライバル関係、きっとどこにでも転がっている。
 そんなときだった。
 会長がいつもの調子でファイルを掲げて戻ってきた。
「イェイッ! ……ん?」
 空気の重さを感じたのか、会長は図書室の面々を見回す。
「あっれー? 何この空気」
 最終的に翠と秋兄を視界に認めると、
「……っていうか、秋斗先生と翠葉ちゃんはお出かけ?」