光のもとでⅠ

「……翠」
『な、何っ?」
 俺はまた避けられているのか……?
 不意にそんな疑問が浮かぶものの、それを口にするのは少し戸惑う。
「……なんでもない。今週末の予定は?」
『え……?』
「紅葉。……見に行く約束しただろ?」
 少しでもあの日にあったことを手繰り寄せたくて、そんなことを口にした。
 俺は打ち上げの帰りにした会話が夢だったんじゃないかと思い始めていた。
 まさか、自分がそう思う羽目になるとは思いもしなかった。
『あ……うん。でも、土曜日はホテルに行くことになってて――』
「あぁ、仕事?」
『どうしてツカサが知っているの?』
 今の会話はだけはいつもの翠だと思えた。