光のもとでⅠ

「翠葉ちゃんは……?」
「インフルエンザ重症患者認定。意識も朦朧としてて大声で呼びかけようが身体を揺さぶろうが十分な反応は返ってこない。ま、投薬したのも今朝からだ。症状が緩和するまでに三日はかかるだろうな」
 相馬さんは立ち上がりカウンターまで来ると、
「両手出しやがれ」
 不思議に思いながら両手を出すと、大の男に両手首を握られる。
「あの、俺そういう趣味はないんですが……」
「バヤカロ、俺だってねぇよ。脈診だ、脈診っ」
 相馬さんは柄悪く悪態をつきながら、弱く握ったり少し力を入れて握ったりして、言葉のとおり脈を診ていた。
「坊ちゃん寝不足だな。脈も最悪だが顔も最悪だ。それからストレス。おまえさん、胃潰瘍になったあとなんだろ? 少しは養生しやがれ」
 淡々と自分の状態を見抜かれ、なんともいえない気分になる。