「心配ならしてる。そのほか、楽しいことじゃなくて少し嬉しいことがあったかな」
『何?』
「んー……司がやっと土俵に上がったってとこ」
『は?』
「ま、とにかくまだ帰らず保健室にいてね」
 そう言って俺は内線を切った。
 彼女が戻ってきたときに寒くないように、と隣の部屋の設定温度を少し上げる。
 そのあと、美都から連絡があり、地下道の詳細を教えた。
 地下道には細かく番地が記してある。
 今教えたとおりに来ることができれば図書棟一階へ抜ける。
 もし間違えたとしても、翠葉ちゃんの発信機から場所は特定できるし、それを使わずとも、地下道に生体反応があればリアルタイムでデータが転送されてくる。
 出てきたらすぐにエレベーターへ乗れるよう、俺はN11を出口に指定した。