俺は湊ちゃんに地下道の入り口になってもらえるよう内線をかけた。
 すると意外な言葉をかけられる。
『なんか楽しそうね?』
「え?」
『秋斗の声がはずんで聞こえる』
「……そう?」
『あんたのことだから翠葉の体温にヤキモキしてるんじゃないかと思ったのに。珍しい』
 あぁ、ずっとモニタリングしてるから熱が上がり始めていることには気がついていた。
 決して耐性ができたわけではない。
 心配はしているけれど、今はイベントを楽しんでいるであろう彼女を見守っていたい気分。
 俺が作った装置を無駄にしないためにも。