「……栞さん、いいです。大丈夫……。司先輩にはちゃんと自分で話します」
「……大丈夫?」
大丈夫なわけではない、でも――。
「……大丈夫です。ありがとうございます」
「そう……? じゃぁ、私は夕飯作りに行くけれど、何かあったら声かけてね」
そう言うと部屋を出ていった。
部屋に司先輩とふたりになり、司先輩の視線を痛いほどに感じる。
「話してくれるんでしょ」
無表情で訊かれる。
私は尋問されているような気持ちで重い口を開いた。
「あの……擦過傷です」
「……それだけじゃ説明不十分だと思うけど」
それはそうだ。どうして擦過傷を起こした、という話だろう。
「気づいたら擦ってました……。気づいたら、血が出るほどに引っ掻いていたみたいです」
「……それは無意識にってこと?」
コクリと頷く。
「……見られたのが嫌だった? それとも付けられたのが嫌だった?」
「……両方、かな。自分でもわからないの」
答えると、司先輩は深く息を吐き出した。
「……そんな目で見るな。もうこれ以上は訊かないから。ほら、マッサージ始める」
先輩はトン、と弾みをつけて壁から離れる。
「……大丈夫?」
大丈夫なわけではない、でも――。
「……大丈夫です。ありがとうございます」
「そう……? じゃぁ、私は夕飯作りに行くけれど、何かあったら声かけてね」
そう言うと部屋を出ていった。
部屋に司先輩とふたりになり、司先輩の視線を痛いほどに感じる。
「話してくれるんでしょ」
無表情で訊かれる。
私は尋問されているような気持ちで重い口を開いた。
「あの……擦過傷です」
「……それだけじゃ説明不十分だと思うけど」
それはそうだ。どうして擦過傷を起こした、という話だろう。
「気づいたら擦ってました……。気づいたら、血が出るほどに引っ掻いていたみたいです」
「……それは無意識にってこと?」
コクリと頷く。
「……見られたのが嫌だった? それとも付けられたのが嫌だった?」
「……両方、かな。自分でもわからないの」
答えると、司先輩は深く息を吐き出した。
「……そんな目で見るな。もうこれ以上は訊かないから。ほら、マッサージ始める」
先輩はトン、と弾みをつけて壁から離れる。


