光のもとでⅠ

 五階へ戻り、玄関のドアを開けてびっくりした。
 玄関に、お風呂上りのツカサが立っていたから。
 壁に背を預け、首にバスタオルをかけたまま腕を組んでいた。
「ツカサ、風邪ひくっ」
 マンションの室内とはいえ玄関だ。
 お風呂から上がって制服のズボンにシャツ一枚、という格好は薄着だと思う。
 しかも、髪の毛はまだ濡れたまま水が滴っている。
 私は手に持っていたお財布やビニール袋をその場に放り、ツカサの首にかけられていたバスタオルに手を伸ばす。
 背伸びしてわしわしと頭を拭いていると、背に腕が回され引き寄せられた。
「つ、ツカサっ!?」
 びっくりしたけど、いつかの自分と同じだろうと、と思った。