光のもとでⅠ

「基本、盗まれるものは置いてないけど、一応ね」
「はい。鍵は閉めたらツカサに預けますね」
「お願い」
 私は車を見送るために一歩後ずさる。と、
「ただでさえ置いていくのに気が引けるんだから、とっととマンションに入ってよねっ?」
 唯兄に怒られた。
「ごめんなさいっ」
「いいよ、別に。……ただ、倒れずに帰ってきて」
 その約束は難しい。
 自分の体調はだいぶ把握できるようになってきたけれど、コントロールできるか、という問題とは別だから。
「無理はしない」
 私はそう答えることしかできなかった。