光のもとでⅠ

件名 :昨日はごめん
本文 :俺の基準で行動した
    節が否めない。
    しばらく仕事でマンションには
    戻れないから、会うこともでき
    ないけど、俺の代わりに
    若槻がマンションに泊ることに
    なった。
    何かあれば若槻を頼って
    あげて。


 いつものような甘い言葉は添えられていない。
 謝罪と、今後の予定のみのメール。
 気を遣ってくれたのだろうか。それとも、呆れられてしまったのだろうか。
 どちらであっても怖い――。
 けど、この首の傷を見られることなく、知られることなく済みそうでほっとしている自分もいる。
 驚かれても傷つかれても、説明の使用がないのだ。弁解のしようがない。
 ベッドに横になり腹式呼吸をした。
 呼吸を整えると心なしか体がリラックスする気がする。
 前に先輩が言っていた瞑想や精神統一ってこれに似たものなのかな。
 でも、瞑想は"迷走"になってしまいそうで怖い。
 眠ろうかと思っていたけれど、そんなときにポーチが開く音がした。