「そう、入り口をを入ったところにあるオートロックに部屋番号を入力するとQRコードを要求されるから、さっき俺が送ったQRコードを入力すればOK。ロックが外れたら奥の自動ドアが開くから、突き当たりのエレベーターで五階へ上がりな。あ、エレベーターでもQRコードを要求されるから携帯はそのまま持ってたほうがいいよ」
「うん」
 私はふたりに見送られて車を降りた。

 行く、と決めたときはずいぶんと気持ちを強く持てた気がしたけれど、いざマンションに目の前にすると不安が募る。
 手前の自動ドアが開いてからは、唯兄に言われたとおりに部屋番号を入力し、アナウンスに従ってQRコードを翳した。
 すると、「ロックを解除します」というアナウンスが流れ、建物内へ続く自動ドアが開いた。
 マンションの一階はほんのりと空気があたたかい。
 ヤシの木がきれいな緑を保てる程度にはあたたかいのだろう。