飲みたくないけど、食べないのならこれ、という条件だっただけに拒否はできない。
 味の強い液体が口の中に残留するのを感じながら必死で飲み下す。
 顔を歪ませたからか、
「量が増えていいなら薄めてあげるけど?」
 お母さんに提案されたその言葉には首を振った。
「じゃ、飲み終わったらお水を持ってくるわ。薬も飲まなくちゃいけないしね?」
 サイドテーブルに目をやると、時計は十時前を指していた。
 そこから少し視線をずらし、ベッドの枕元を見るもラヴィしかいない。
「お母さんっ、私の携帯はっ!?」
 もう壊れてしまったであろう携帯。それでも、ちゃんと私の手に戻ってきた携帯。
 それが見当たらない。