テンポ良く話していた唯兄は、一度言葉を切った。
「はい、ここで問題。Sさんの姪は誰でしょう?」
 ……もしかして、さっき私が叩いた人?
「わかった? リィの携帯を池に落とした女の子。あの子見て何か気づかなかった?」
「え……?」
「たとえば、雅嬢に似ているとかなんとか」
 顔は似ていなかった。でも――。
「話し方や仕草がなんとなく……」
「うん。Sさんの妹は老舗茶屋に嫁いでいてね、そこ、雅さんの家御用達のお店なんだ。で、そのお茶屋の娘っていうのがSさんの姪。今日の彼女なわけだけど、茶葉のお届けは基本奥さんが娘と一緒に行っていたらしい」
「……雅さんと今日の人が知り合いだった、ということ?」
「よしよし、ちゃんと話についてこれてるね」
 唯兄は満足そうに頷いた。