「首は平気、大丈夫……」
「そう、良かった。みんなリビングにいるわ」
「みんな」とは誰のことを言うのだろう。
 どこまでの人たちのことを指すのだろう。
 お母さんは私の手を握る。
「だいぶあたたかくなったけど、お風呂に入ってもう少しあたたまってきたらどうかしら?」
「でも……」
 私が起きるのを待っていてくれたのだとしたら、さらに待たせることになってしまう。
 部屋は暗く、今が何時なのか、あれからどのくらいの時間が経っているのか見当もつかない。
 だから余計に躊躇する。
「みんなは翠葉の身体があたたまることを優先したいみたいよ?」
「そこまで大切に思われる資格なんてない……」